殺処分は最も福祉の下がる瞬間であり、さらに虐待にもつながりやすい部分です。
殺処分が決まった動物については、殺処分の前段階から不適切な輸送や拘束などの扱いを受ける可能性が高いです。
殺処分の適切な方法自体をわかっていないケースが多いため、事前の意識喪失を義務にするとともに、行ってはならない方法を規定し遵守義務にする必要があります。
意識の喪失を事前に行うことは、国際的にも人道的にも社会通念上も必須です。
さらに殺処分後に死亡確認を行わないことにより、廃棄物になっていたり長時間苦しむこともあるため、死亡の確認を義務化する必要があります。
また、罠にかかった動物など、不適切な扱いが散見され、法の目的を阻害しています。
私たちは以下の法改正を求めます。
- 殺処分前の意識喪失を義務化する
改正案(動物を殺す場合の方法)
第40条 動物を殺さなければならない場合には、できる限り速やかに、かつ苦痛のない方法によってその動物の意識を失わせた上でしなければならない。 - 殺処分前から殺処分、および殺処分後の死亡確認に至るまで適切な処置が行われるよう、規定を追加する
- 対象は、人がなんらかの関わりを持ち殺す場合のすべての動物であることを明確にする
【1の解説】
意識喪失なしでの殺処分は動物をひどく苦しめ、意識喪失により明確に動物福祉レベルが上がることがわかっています。
・気絶させていない牛や羊のと畜では、気絶させた動物と比較して、負の福祉指標が増加。死後の気道内に血が混じった泡が発生する割合が増加するなど様々な指標において負の影響が確認されている。
https://bvajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/vetr.1739
・家禽の研究により、意識のあるままと畜すると、保定と拘束による苦痛、血管を切断するために喉を切開したときに侵害受容器を含む箇所に激しい損傷、死ぬまでの長時間の不安、痛み、苦しみがあることが示されている。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/B9780081012154000122
・魚類(スギ)の気絶処理がと畜時のストレスの大幅な軽減と肉の品質の向上につながることが判明し、魚の気絶方法有効性が示されている。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0044848617303186
【2の解説】
殺処分に関わる全ての行程を法文内で規定し福祉低下を防ぐ
下記を遵守義務にすること
- 殺処分前
- 殺処分のための輸送や保管
- 時間を短くする
- 苦痛や不快さ、恐怖の軽減
- 最後まで給餌給水を徹底する
- 殺処分のための保定や拘束
- 時間を短くする
- 苦痛や不快さ、恐怖の軽減
- 殺処分のための輸送や保管
- 殺処分中
- 殺処分の方法
事前の意識喪失に加え、- 意識喪失からの時間の経過をさせない
- 死に至らない可能性が残る方法を排除
- 苦痛の大きい方法を排除
- 苦痛の評価ができていない方法を排除
- 目的外利用の製剤利用を排除(消毒薬や農薬など)
- 国際的に否定されている方法を排除
- 殺処分の方法
- 殺処分後
- 死亡確認
- 全頭の死亡確認の徹底
- 致死の失敗がわかった際の早急な苦痛軽減
- 致死の失敗がわかった際の緊急の致死
- 死亡確認
- 殺処分の要件
- 殺処分実施者
- 獣医師を基本とする
- 獣医師であっても適切な知識、訓練、能力を有すること
- 殺処分の準備
- 動物福祉の研修の徹底
- 殺処分に使用する薬剤や機材の点検管理の徹底
- 殺処分実施者
参考:世界動物保健機関(WOAH)ではいくつかの種について禁止する殺処分方法を規定している。
7.7章で禁止する犬の殺処分方法
空気塞栓、窒息、焼却、クロラールヒドレート、クロロホルム、シアン化物、減圧、溺死、失血死、ホルマリン、家庭用品および溶剤、農薬/除草剤、低体温症、インスリン、神経筋遮断剤、頭部への手動での鈍力トラウマ、急速凍結、胸部圧迫、ストリキニーネ、一酸化二窒素、エーテル、殺傷トラップ、エンジン排気ガスからのCO(CO2)、所要濃度と流量が制御監視されていないCO2、弾銃、貫通性捕獲ボルトによる後のピッチング、電気ショックおよび二次的殺害方法なしの驚愕
7.14章で禁止する爬虫類の殺処分方法
失血、凍結や冷却、加熱や沸騰、窒息や水死、圧縮ガスや液体を使用した膨張、生きたままの内蔵摘出または皮剥、心停止を引き起こす収縮バンド、窒息ガスの吸入:二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、または窒素(N2)、神経筋遮断薬の使用、頸部脱臼。
畜産動物・実験動物も守れる法改正を求めます
この法改正の決定権を握るのは国会議員です。国会議員は市民の声、数で動きます。
私達は皆さんの思いの詰まった署名をできるだけ多くの国会議員に届けます。
どうか力を貸してください。