「基本原則」(第2条)に「5つの自由」を盛り込むことを提案いたします。すなわち、現行法の基本原則に含まれている3つの自由に加え、「恐怖や抑圧からの自由」と「正常な行動ができる自由」を追加することが望ましいと考えます。
人の占有下にある動物の福祉の国際原則となっているの「5つの自由」のうち、「飢えと乾きからの自由」「肉体的苦痛と不快からの自由」「外傷や疾病からの自由」に相当する文言は現行法に記されていますが、
残る「恐怖や抑圧からの自由」「正常な行動ができる自由」が含まれていないように読めます。
動物愛護法は動物を殺すなという法律ではなく、適正な取扱いを求める法律であり、その旨を明確にし、何が適正なのかを明確にする必要があります。
そのためにも明記が必要であると考えます。
環境省はすでに5つの自由を推進する立場にあり、「動物虐待に関する対応ガイドライン」やパンフレット「飼う前も、飼ってからも考えよう」など様々な啓発コンテンツに盛り込んでいます。その他農林水産省でも同様で、大手食品企業は5つの自由に賛同し推進することをポリシーとして持ちはじめており、5つの自由を守ることがビジネス上も重要になってきています。
「命あるもの」を
「命あるもの、感覚があり苦痛を感じるもの」とする
現行法に苦痛の軽減や適正飼養が含まれており、それはつまり動物が心身の苦痛を感受するものであることは広く認められた事実であることを示します。
前回改正時に法制局から、「『動物が心身の苦痛を感受する』ものであるという認識を法律に明記するに足りる科学的根拠が必要」といった意見がありましたが、根拠は以下の通りとなります。
- CIOMS(国際医学団体協議会)-ICLAS(国際実験動物学会議)の「医学生物学領域の動物実験に関する国際原則」には、「研究者は、反対する根拠がある場合を除き、人間に痛みや苦しみを引き起こす手技はその他の動物にも痛みや苦しみを引き起こすと仮定しなければならない」と書かれている。
動物が苦痛を感じることは、もはや科学の大前提であって、それがなければ多くのストレス実験、鎮痛に関する実験等が成り立たない。
- 全ての薬剤で完全に人と作用が同じというわけではないが、麻酔・鎮痛・鎮静・抗不安等の薬剤が効くということが一つの科学的根拠である。
- 動物実験の「3Rの原則」や「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」も動物が心身の苦痛を感じるからこそ存在すると考える。
- 心身の苦痛を感受することを示す論文は多数あり、むしろ心身の苦痛を感受しないことを示す証拠を探すことはほぼ不可能である。
- EU機能条約(リスボン条約)においても動物は”sentient beings“であると書かれている。
できる限り苦痛を回避させることも動物愛護法に盛り込まれています。
「命あるもの」だけでは、動物をただ生かしておけば良いとも受け取られかねず、「感覚があり苦痛を感じるもの」も並列すべきであると考えます。
人の占有下にある動物の福祉の国際原則となっている「5つの自由」すべてを明確に盛り込むことで、動物への心理的な暴力やネグレクトが明確に違法であることを示す必要があります。
畜産動物・実験動物も守れる法改正を求めます
この法改正の決定権を握るのは国会議員です。国会議員は市民の声、数で動きます。
私達は皆さんの思いの詰まった署名をできるだけ多くの国会議員に届けます。
どうか力を貸してください。