OECD(経済協力開発機構)など、日本が加盟している国際機関で公定化された代替法が多数あるにもかかわらず、国は代替法を「利用してもよい」といった弱腰姿勢です。それもあって、企業や研究機関の自主的な利用に留まってしまっており、代替法があっても動物実験が続けられていることがあるのです。これは不必要な苦痛に他なりません。
医薬部外品や化粧品の代替法利用について、国が発出したものとしては下記の2つの事務連絡くらいしかなく、ここでも国が代替法利用に積極的でないことがわかります。
1つめのQ&Aでは、動物実験代替試験法による試験成績を申請資料として用いることは可能か?という問いに対して、「国際的に採用された方法であるなら、それでも差し支えない」といった回答で、「代替法があるなら、それを利用しなければならない」とまでは言っていません。2つめの通知では、「JaCVAM(日本動物実験代替法評価センター)のウェブサイトに出ている代替法を参考にして」というお知らせに留まっているのです。
国がこのように弱腰では、当然、企業も積極的に代替法を利用しようとはしません。
下図は、2014年とかなり前の調査ではありますが、厚労省の研究事業として行われた、化粧品会社に対する代替法の利用状況のアンケート調査結果です。
36社から回答があって、そのうち4割以上が「代替法の利用は考えていない」、8割が「代替法で申請したことがない」という情けない結果でした。しかも、利用を考えていない理由として、「試験法の技術習得が困難」「申請に通常より期間がかかりそうで心配」などという怠慢な理由がならんでいました。
関係省庁からの通知やガイダンス等の発出がなければ、国内で正式な代替法としては利用できない分野もあります。すでにある代替法をきちんと利用して、動物実験を減らしていくには、国際機関で公定化された代替法について、国内での利用の検討や推進をすることを国に義務付けることは不可欠なのです。
なお、前回改正時の附則には、3Rの原則の“代替”と“数の削減”について在り方を検討し、必要な場合には措置を講じるようにと盛り込まれています。つまり、今回の改正で優先的に検討すべき点となっています。
附則
(検討)
第九条
3 国は、動物が科学上の利用に供される場合における動物を供する方法に代わり得るものを利用すること、その利用に供される動物の数を少なくすること等による動物の適切な利用の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
畜産動物・実験動物も守れる法改正を求めます
この法改正の決定権を握るのは国会議員です。国会議員は市民の声、数で動きます。
私達は皆さんの思いの詰まった署名をできるだけ多くの国会議員に届けます。
どうか力を貸してください。
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