動物園・水族館等での展示は動物が死ぬまでの長期間に渡りますが、現行の登録制度はそのことに対応できていません。展示に最低水準を定め、国際的にも強い批判のあるアニマルカフェや室内型の動物展示施設の新規登録は不可とするべきです。
販売業に関しては法律事項が多いのですが、展示業に関する定めがほぼなく、何をやってもいい状態になっているのが現状です。特に動物福祉の意識が低い国だということを海外に強く印象付けているアクティビティ類については禁止するべきです。〔一部は展示動物の飼養保管基準からの法律事項への格上げが必要〕
私たちは以下の法改正を求めます。
- 動物展示に関し、最低水準を定めた条項を新規に設ける(新設)
- 動物展示についても禁止事項を定めた条項を設ける(新設)
- 動物を紐・ハーネス等で身体拘束して展示すること、着衣・着色等
- ショー・調教芸、暴力や絶食を伴う調教
- 野生動物・畜産動物を直接触らせる触れ合い、餌やり等
- 母子の早期引き離しを伴う写真撮影、ふれあい等
- ライド
【1の解説】
- ショップでの展示は動物が販売されるまでの比較的短い期間であるのに対し、動物園・水族館等での展示は動物が死ぬまでの長期間に渡る。現行の登録制度はそのことへの配慮がない。
- 放飼場や、生態にそった必須設備(水生・半水生動物のための水槽等)が備わっていない形態の展示業は登録できないようにする条項を新設するべき。
- アニマルカフェや室内型の小型の動物展示施設で動物福祉が担保されていない現状は、国内外から繰り返し指摘がされている。
- 詳細な要件は基準(省令)にゆだねるとしても、展示動物に対し動物福祉にそった飼育環境が必須であることは法令に盛り込むべき。
- アニマルカフェや室内型の小型の動物展示施設の新規登録は不可とし、既存の登録施設についても動物園型への移行もしくは廃業を促す。
カワウソカフェ
ケージ飼育で水場も不十分
室内型展示施設
大小の動物全てに放飼場や十分な設備がない
ふれあい施設に近い動物園
広さ十分と言えない
公衆衛生問題
動物愛護行政は自治体の食品衛生部門に移譲されているにもかかわらず、動物の飼育スペースで飲食サービスが許されています。
『動物由来感染症ハンドブック(動物からうつる病気があります)』
山口県環境生活部生活衛生課(令和6年3月)より
【2の解説】
- 動物福祉上許されない行為を展示動物についても法で規定する必要がある。
- 動物園動物の多くは野生動物であり、ペットと勘違いさせる行為は動物との共生の在り方を歪めさせる。
- 展示動物の飼養保管基準では遵守させることができていない。
動物を紐・ハーネス等で身体拘束して展示すること、着衣・着色等を禁止
- 「健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束」することは動物虐待罪が適用されている(第44条第2項) 。
- 拘束は動物から完全に自由を奪う行為。「5つの自由」の原則からもあり得ない。
- 展示動物の飼養保管基準解説書に拘束展示してはならないことが書かれているが、守られていない。
- 猛禽カフェ等の増加により悪化している。
ショー・調教芸等の禁止、暴力や絶食を伴う調教の禁止
- 自然界では行わない動作をさせたり、極端な大技を仕込んだり、不自然な態勢を取らせたり、動物への過度な負担となっていることは明らか。
- ゾウに対する暴力的なブルフック使用が現在も行われている。(ブルフックは調教用の金属のカギ爪)
動物は人間に従うべき存在であり人間を楽しませる娯楽の道具だ、と人々に理解させることは、動物愛護法の法の目的にそぐいません。
野生動物・畜産動物を直接触らせる触れ合い、餌やり等の禁止
- 不特定多数の未知の人間に触れられたり接近されたりすることへのストレスを考慮するべき。
- 感染症リスク(野生動物・飼育動物への感染リスク、人への感染や新興感染症リスク) がある。厚生労働省の「ふれあい動物施設等における衛生管理に関するガイドライン」はエキゾチックアニマルの触れ合いを不可としているが守られていない。
- アメリカでは疾病予防管理センター(CDC)や各種学会等のガイドラインで5歳未満に爬虫類、両生類、ヒヨコを含む生きた家禽、フェレットの触れ合い不可。
- 畜産動物では農林水産省の各畜種の飼養衛生管理基準が守られていない(消毒など)。日本で起きた動物触れ合いイベント等での集団感染は畜産動物によるものがほとんど。
母子の早期引き離しを伴う写真撮影、ふれあい等の禁止
- 赤ちゃんと写真撮影、ふれあい等のために子の早期引き離しが行われている。子の福祉、成長後の心身の健康状態への悪影響の問題から、禁止とするべき。過剰繁殖を引き起こし、成獣となってからの低福祉な環境での飼育に繋がる。
ライドの禁止
- 韓国ではイルカショーで調教師がイルカの背中に乗ることに批判が沸き起こり、動物へのライドは禁止された。
- ゾウ、リクガメ等に人間を乗せる行為を禁止するべき。体への負担だけでなく、拘束状態に近いことが問題。現状、馬の除外はやむを得ないが、ラクダ等は禁止に含まれるべき。フランスはポニーライド禁止。
ふれあいの問題点
京都動物園がコロナ休園中にモルモットの病気が少なかったことから、モルモットを直接触らせる触れ合いを廃止するなど、動物福祉に配慮することが始まっています。
畜産動物・実験動物も守れる法改正を求めます
この法改正の決定権を握るのは国会議員です。国会議員は市民の声、数で動きます。
私達は皆さんの思いの詰まった署名をできるだけ多くの国会議員に届けます。
どうか力を貸してください。