今、日本の畜産場は、法律がないからこそ、動物を詰め込めるだけ詰め込んでいます。
結果、こうなります。
採卵鶏:
日本の採卵鶏約1億4千万羽の内の98.87%が金網のケージの中に閉じ込められており、これはこれで、世界はケージフリーに切り替える一方で、日本はケージフリーへの動きが遅いことが議論されています。
しかし、同じケージ飼育であっても、日本のケージ飼育は世界の中でもよりひどい状態にあります。なぜなら、1羽あたりの面積が過度に狭いためです。
日本最大手の養鶏場の1羽あたりの飼育面積は285 ㎠/羽と異常な状態であり、これでも日本政府が推進する認証JGAP認証を取ることができます。さらに、平均的には370~430 ㎠/羽であり、日本養鶏場会が推奨する密度もたったの430 ㎠/羽です。
430 ㎠/羽は、ipad1枚分程度であり、A4サイズにも満たない大きさです。当然、鶏自身のサイズよりも小さい場合がほとんどです。もちろん羽を広げることなどできませんし、歩くこともままなりません。
この飼育密度は、海外では違法な飼育密度にもなり得ます。
例えば以下のような規定があります。
- 韓国:1羽あたりの飼育面積750cm2以上
- 米国の州法:
オレゴン州:2004年以降建築:平均値430cm2以上(白色レグホン)、490cm2以上(褐色産卵鶏) 2012年以降建築:750cm2以上義務付け ※現在はケージフリーが規定されたためより広くなりこの規定は廃止されている
コロラド州:2023年から929cm2以上義務付け
肉用鶏:
日本は他国の1.7~1.8倍過密飼育しています。
密飼いはアニマルウェルフェアだけでなく、衛生、防疫と直結
運動ができない・ストレスが溜まる・糞尿が発酵されない・足元がどろどろになる・全身が糞尿で汚れる・足裏膝裏に炎症ができる・体が弱くなる・感染症になりやすくなる
アニマルウェルフェアは抗菌剤の多剤耐性菌の発生防止にも直結
EUは「アニマルウェルフェア、抗菌物質の使用、及び工業型ブロイラー畜産が環境に与える影響等」を決議、アニマルウェルフェア自体が薬剤耐性菌の予防につながると明記
農林水産省の密飼いの参考値 | 54kg/㎡ |
日本の一般的な飼育密度 | 50~56kg/㎡(冬場は60kg/㎡) |
EU規制(原則)・トルコの規定 | 33kg/㎡ |
タイ国の農業規範 | 20~34kg/㎡ |
韓国の農業法による規制 | 33~39kg/㎡ |
CP Foods(タイ大手食肉企業) | 33kg/㎡ |
Tyson Foods(米国大手食肉企業) | 31%が32kg/m²以下 |
JBS(ブラジル大手食肉企業) | 48%が32kg /m²未満 |
BRF(ブラジル大手食肉企業) | 52%が30kg /m²未満 最大39kg/m² |
メイプルリーフ(カナダ大手食肉企業) | 57%が31kg/㎡以下 最大38 kg/m² |
産業動物のための新たな条項に、下記の条文を加えることを提案します。
本来なら、世界と同様に具体的な数値を規定するべきであると考えられますが、農林水産省も数値を決めることができず、さらには業界の抵抗も大きいことから、定性的に規定することを提案しています。
移行期間も必要となるため、その規定をいれることも求めます。
動物を産業用に繁殖、飼養及び係留する場合には、飼養密度を適正に保つものとし、最低限、他の動物や壁と接触せずに、全ての動物が同時に横臥できる面積を与えなくてはならない。輸送する場合には、最低限、他の動物や壁に接触せずに、全ての動物が同時にうずくまる事ができる面積、及び天井にぶつからず立ち上がり首を上げられる高さを与えなくてはならない。
畜産動物・実験動物も守れる法改正を求めます
この法改正の決定権を握るのは国会議員です。国会議員は市民の声、数で動きます。
私達は皆さんの思いの詰まった署名をできるだけ多くの国会議員に届けます。
どうか力を貸してください。
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